今日ご案内させていただいたのは、ワイン好きのEご夫妻。
ちょうどリクエストがあった日、モンテプルチャーノでは
夏の1大イベントワインの樽転がしレースが行なわれる日
ぜひ、この一風変わった競争を見てみてはどうか?
と提案させていただきました。
今回のプランはワインセラーの訪問と一般家庭で昼食
時代衣装を身に着けた人々の行列と
ワインの樽転がしレースを見てみるという
1日丸ごとモンテプルチャーノを楽しむプランを提案させていただきました。
今回のご案内でとっても印象的だったのはお天気。
天気予報の印、雪を除いたマーク全部が使えるほど
目まぐるしい天気の変わりようで、1日で
快晴→雷雨→曇り→快晴→暴風雨→素晴らしい夕焼け。
朝、フィレンツェにお迎えに上がった時点で雨と雷
- 樽転がしはどうなるのだろう… と、皆心の中で心配するも
こちらに到着した頃に、雲の隙間から青空が見え始めました。
宿泊先のアグリに荷物を預け、まずは町中にあるアンティークカフェ
「Caffe Poliziano」でほっと一息入れることに…
まだ、雨に濡れた石畳の緩い坂道を上り
最初のワインセラー【Crociani】を訪問。
13世紀に起源を持つ地下のワインセラーを見せていただいた後
いくつかのワインの試飲をされました。
ここを出る頃にはちょうど、樽転がしレースのスタート位置の抽選と
レースに使われるワイン樽に焼印が記される儀式が市庁舎前の
広場で行なわれていましたので、広場まで足を延ばして見学に。
その後もう1つの素晴らしいアンティークなワインセラーにご案内
こちらのワインセラーでも試飲を楽しんでいただきました。
再び市庁舎前に戻り、大聖堂の司教が
無事にこのレースが行なわれるようにと
スピンジトーリ(Spingitori)と呼ばれる
樽を押し転がす選手や各地区の代表者に
祝福を与える儀式を見学
選手や旗振り、時代衣装を身にまとう各地区の人々が
大聖堂前の階段に一同に集まるその姿は、とっても華やか
写真を撮るにも良いチャンスです。
それが終わる頃には、時刻もお昼。
今回の昼食には、素朴なマンマの味と普通のイタリア人の生活を
垣間見て、楽しんでもらおうということから一般家庭にご案内しました。
この日用意されたものは、ラザニア(パスタはもちろん手打ち)
農家から直接仕入れた鳥のグリル、その美味しい肉汁を吸って
グリルされたジャガイモや完熟のトマト。ワイン。
デザートには自家製のプルーンなどなど・・・
食事中ご主人のTさんは
-どんなレストランで食べるイタリア料理よりもとっても美味しいと
大変この家庭料理を気に入って下さいました。
ラベルのない地元のワインも美味しい料理とよくあいます。
食後は秋が近いということで、キノコ狩りの話にもなり
過去の写真を持ち出したりして、楽しい午後のひと時を過ごしました。
聞けば奥さまのE子さんはイタリア語を習得中、ファミリーとの
会話も楽しまれていました。
すっかり晴れ上がり、日差しの強くなった午後は
レースに先駆けて行なわれる時代行列を見に、再び町中へ繰り出しました。
途中、いくつかの特徴的な教会や路地裏を夫マッシモの昔話と説明とで巡り
その後、時代行列がよく見える場所へみんなで移動。
最後のコントラーダ(地区)、時代衣装を
身につけた人々の一行が通り過ぎようとしていた頃になって
雲行きが怪しくなり、ゴロゴロと雷鳴が聞こえてきました。
数分もしないうちに、ポタッ、ポタッと大粒の雨が落ちてきて
衣装を身に着けた人々も、軒下を目指して駆け込みます。
私たちはあらかじめ、少し雨がしのげる所にいたものの
雨脚が強くなってきたことと、今まで感じたことがない
風の音とうねりを聞いたので、思い切って雨の中を飛び出し
近くの知り合いのワインショップへ避難することにしました。
皆が駆け込んだとたんに、台風のような風速の突風が吹き荒れ
雨がずごい音でガラスをたたきつけます。
非難した人々は、あまりの天気の変わりようにびっくり。
このイタリア人たちが、声もでないほどです。
私たちもこんな天気は今まで見たことがありません。
後で聞いたのですが、モンテプルチャーノを挟む2つの谷で
発生した雷雨がこの上空でぶつかり合ったそうです。
雨が止み日が差し込んで、台風一過のようなすがすがしい
お天気が戻りましたが、もう、こうなると樽転がしは濡れた石畳
ではすべる危険があるため完全に中止です。
Eご夫妻もガックリ肩を落とされ
-こうなったら中止よね…
その答えに
-残念ながら…
と、なすすべもなく、答えるしかなかった私たちもまたガッカリでした。
気落ちするご夫妻を、アグリにお送りする途中で
- 時代行列は見れたから良かった
と、おっしゃって下さったご主人の言葉に私たちも気を取り直し
明日は晴れることを願って今日はお別れしました。
翌日…
昨日の嵐がうそのように晴れ上がり
素晴らしい青空が広がりました。
お迎えに上がった早朝アグリの庭からは
眼下に霧の中に顔を出した
丘の上の町が、まるで海の上に浮かぶ小島のようでした。
ご夫妻は早起きされて、オリーブとブドウ畑の
周りの景色を楽しまれたようです。
その後なだらかなオルチャの谷を抜け、丘の上の村ピエンツァ
ローマ時代からの温泉地バーニョ・ビニョーニ
15世紀の要塞がそのまま残るモンタルチーノを訪れた後
お昼過ぎ、今日の宿泊先であるチンクエテッレに
向かうため、地中海側の最寄り駅グロッセート駅
までお送りいたしました。
とても落ち着いて感じの良いご夫妻との
楽しい時間は奥様の楽しいおしゃべりもあって
あっという間に過ぎていきました。